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プロフィール
HN:磯見仁月
職業:漫画家
自己紹介:
漫画家の卵。殻を破ろうと日々悶え中。趣味は読書と旅行と整理整頓。丸ペンと家庭用万能包丁が愛刀です。


新連載「傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン」(新潮社 月刊コミックバンチ)2018年12月21日開始



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漫画家・磯見仁月のブログです。                                 新連載「傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン」(新潮社 月刊コミックバンチ)
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グーテン・アーベント!!
仁月です。
連載後初の修羅場を潜り抜け、ようやくブログです。
背中には修正のでたネームが待ってるんだけどね…。
修羅場明けなんで、なんかもうまったりした絵が描きたくて、上記の図。
会話の流れが意味不明でしょうが、

実はクロノ・モノクロームは仁月が初めて描いてから、すでに3年目を迎えています。


3年前、紙面掲載すら未経験の仁月は、ただの読切り用にクロノ・モノクロームを描いてました。
それが月刊連載企画になり、月刊用のページ構成で何話かつくり連載会議へ。
その連載会議でなぜか週刊企画に変更になり、週刊連載の企画会議用にページ構成を変え、また何話か作り、そこからさらに実際の連載用に、何話か新しく作るという工程を通ってめでたく連載となりました。
間にチェス協会への取材、海外取材、チェスの大会の日程の都合などもあって、ずっとネームは書き続けていたものの、全行程2年以上となったわけです。
もう漫画にできそうなエピソードがほかにも盛りだくさんの2年だったので、ここでは到底描き切れない。
いずれ単行本で触れたいですね。

……。
背後のネームが気になりますね。
でもその前に少しは語らせて!
というわけで遅ればせながら、3~5話のうんちくです。
めっさ長いよ!!
センター試験控えてる方は、すんでから読みましょう!
試験頑張ってね!!

第3話

仁月と担当さんがものすごく苦労したクイズ回。
ようやく…。

ヴォルフガング・フォン・ケンペレンがでてきました~!!!


サンデーバックステージでも説明しましたが、歴史上の人物です。
史実上も美男子で頭脳明晰の完璧超人。
仁月のネタノートにチェスのネタは昔からあったのですが、連載企画にすべくネタだししてた3年前、それまでやってた企画がアウトで、チェスの歴史を洗い出したところ、このお方に出会いました。
ある意味クロノ・モノクロームの生みの親ですね。
史実上、いくつかエピソードを持っている方なので、作中でどんどんねじ込んでいきたいなと思っています。


さて、3話といえば怪しげなものであふれるケンペレンの物置。
目立つのは拷問器具、アイアンメイデンですね。
他にもちょくちょく中世頃の拷問器具を背景に書き込んでみました。
当時は今では理解しにくいことですが死刑は公開処刑が基本、町中の広場で民衆がお菓子でも食べながらショー感覚で見ることもあったそうで、色々な拷問・処刑器具が発明されました。
でも有名なギロチンができるのは、もう少し後です。
人体構造が次第に判明され、効率よく処刑するために、宮廷などが道具の研究を科学者などに委託することもあったそうで、その延長上にケンペレンもコレクションとして持ってるかなと思い、作画に組み込みました。

天井にぶら下がるよく分からないもの。
海外取材先のウィーンの博物館で見た、18世紀ごろの発明品などを参考にしています。
今回はかけませんでいたが、現地で見た仁月にとっての一番の珍品は、

獣の胆石で作った杯。

いや…、珍しいのはわかるんだけどさ…。
何というか西洋の、ちょっと奇怪なディティールは、不可思議ですよね。
だから面白いんですけど!!

第4話

仁月とスタッフさんが作画で死んだ回。
こちらもようやく…。

タークがでてきました~!!!


18世紀の有名なオートマタの一つで、こちらもサンデーバックステージで触れましたが、内部構造はなるべく忠実に作れど、デザインを大幅に変えました。
しかし困ったのはそのデザイン。
仁月は漫画やアニメをあまり見ていないうえに、超絶機械音痴(怪体のおまけ漫画読んだ方はご存知でしょうが、PSPを知らなかった)。
ロボットのイメージが全く分からず、18世紀じゃ今でいうタッチパネル的なものもないしなー、と悩んだ末行き着いたのが。

工事現場の重機でした。

何か手作業の感覚がある要素が、タークに欲しかったんですよね…。
クレーンのアームとか、チェスを指す動きっぽいなーと思ったので。
それに友人や、作家さんの知り合いに資料を紹介してもらい、14世紀の工学の素描などももとにして、某先生の協力のもとタークの内部のデザインができました。
人形のデザインは仁月一人で、なけなしのセンスでがんばりました…。
19世紀のビスクドールや、イタリアの仮面などを参考にしています。
タークのデザインやエピソードに関しては描き切れないんで、単行本でぜひやりたいですね!!


そして4話の作中でもありましたが、ここで出てくるおうちはケンペレンの別邸です。
当時のウィーンでは貴族が町屋敷を作るのがブームで、自分の領地の邸宅とは別に、小さくとも居心地のいい邸宅をこぞって作っていたそうです。
貴族屋敷も構造にセオリーがあり、使用人は3~4階の屋根裏部屋(建築技術上、3~4階が限度なので)、クロムの部屋は使用人部屋というわけです。
部屋は質素で顔を洗う水差しに照明用の手蝋燭、小机にクローゼット、ウィーンは寒いので小さな暖炉があるケースが多かったようです。
他の部屋も階層やエリアですみわけがあり、その辺も調べたのでいつかお屋敷や町中の周遊回もやってみたいですね!

そしてアントンの家事。
18世紀は電気がないので、まず冬のお仕事は暖房の暖炉の掃除、そして蝋燭やランプの手入れでした。
特に当時の蝋燭は、獣の油などを固めて作った粗悪なもので、燃やすとランプのガラスがすぐすすけて使い物にならなくなるので、宮廷などではそれを磨く専用の使用人もいたとか。
フランスの記録ですが、町中では朝方玄関先にランプを置いておくと、蝋燭を交換してくれる職業もあったそうです。
今は何でも電気がやってくれてとても便利ですが、その分そういうお仕事の数も減ってるのかなと思うと、ちょっと切ないですね。

そしてケンペレンのセリフ。
コマドリと言ってますが違和感があるかと思います。
日本だと朝なく鳥はスズメですもんね。
ウィーンは寒いのでスズメは夏しかいないのです!
取材中、スズメが一匹もいないので、ガイドさんに聞いたところ、いないと聞いてびっくりしたので思わず書いてしまいました。
そしてドナウ川。
今の地図を見てもそうですが、ウィーンの横を大きくカーブして流れている大河です。
実は1770年ごろの地図を参考に、ちゃんと構成してるので、2話のクロムが逃げてる移動距離とかも結構リアルに作っています。
レオの酒場はウィーン市街東部のドナウ川寄りで設定してます。
本当にこの辺は一度…、

しっかり観光回をやりたいっ!!



第5話


世界最古のゲームの一つ、

「ナイトのツアー」。

バックステージで詳しく述べましたが、非常に難しいゲームで、実際のタークドライバーの特技でした。
5話でクロムが披露したコースは、史実に残るタークのコースです。
途中、アントンが覚えきれないといっている寸前の駒で、コースの全景が出てますが、クロムがそのあと最後の手を指すので、ゴールまでまだ到達できてません。
難しそうだな、って思ってる人は、まずこれを解いて慣れてみてくださいね♪
結構はまりますよ。


ケンペレンとアントンの過去シーン。
ここで出てくる人たちの衣装はすべて、ハンガリーの民族衣装を参考にしています。
仁月はこのあたりの民族衣装がものすごく好きです。
海外取材で博物館である程度見たのですが、滞在はずっとウィーンだったので、周辺国のはあんまり見れないなーと考えていました。
ところが最終日、ウィーンの王宮で散歩してたら、各国のマーチングチーム(かな?違ってたらごめんなさい)が民族衣装を着て次々と行進して入ってくるというビックイベントに遭遇!
壮年以上の方が多かったのですが、もう皆様の素晴らしい事。
無断で写真を撮りまくる怪しい東洋人と化した仁月を、肩を抱いて優しく一緒に撮影してくださいました。
本当にありがとうございます、変態的撮影で本当に申し訳ないです。
すべてインクに込めますので、なんていうかありがとうございます!!


そしてでてきました。
顔はでていないけど、

神聖ローマ帝国女帝、マリア=テレジア様!!!

実は正確には神聖ローマ帝国女帝とするには語弊があるのですが、そこを説明するとなると、そもそも領邦国家という、日本人には非常に理解しづらいものを提示しなければならないのと、実質上は神聖ローマのトップの象徴のひとりということもあり、表記をそうさせていただきました。
世界史に詳しい方がいたら申し訳ないですが、日本では世界史はなじみが浅く、そもそもとっつきやすさを提示することが少年誌のよさのひとつと仁月は思うので、あえてそうさせていただきました。
むしろ、その表現の違いも楽しんでいただけたら幸いと思います。




やー、しかしすっかり夜も更けましたね。
語りだすと止まらなくて困ります。

次回は6話、仁月とスタッフが作画で死にかけた回です。
魂込めましたんでどうぞ来週も応援お願いします。
ファンレターや年賀状も何通かいただいてうれしい限りです。
全部読んでますよ!!
反応やコメントも楽しみにしています!!
では今回はこのへんで。

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