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プロフィール
HN:磯見仁月
職業:漫画家
自己紹介:
漫画家の卵。殻を破ろうと日々悶え中。趣味は読書と旅行と整理整頓。丸ペンと家庭用万能包丁が愛刀です。


新連載「傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン」(新潮社 月刊コミックバンチ)2018年12月21日開始



※当ブログ内の画像の無断転載は禁止とさせていただきます。よろしくお願いいたします。


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漫画家・磯見仁月のブログです。                                 新連載「傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン」(新潮社 月刊コミックバンチ)
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暑中お見舞い申し上げます!!

仁月です。
6月ですね、暑いです。
仁月は夏生まれなので、夏には割と強いのですが、スタッフ数人と1室で仕事してると
若い奴らのエネルギーか、それなりに熱いです。
なのでスタッフにお小遣いをあげてアイスを買ってもらいました。
なのでアイス食べてる黒六です。

仁月は常々、生まれる時代を間違えたと考えていますが、思い直すひとつにアイスがあります。
さすがに冷蔵庫がない時代は、なかなかこいつの美味さは味わえませんからね!!
クロノ・モノクロームの現在の時間は5月ですが、黒六はこれからアイスのない悲しさを知るかもしれません。

では久々のうんちくを!!
単行本2巻にそれなりに収録しましたので、収まりきらなかった分を少しだけ。


8話

シェーンブルン宮殿デビュー戦クライマックスです。
史実上のタークの初戦であり、連載開始後、初めてクライマックス的なものを描いた回で、仁月にとっては1番思い出深い回になりました。
1番お気に入りの回でもあります。

シェーンブルン宮殿は本来は夏だけの離宮。
日本ではあまりなじみがない文化ですが、欧州は避暑というのがとてもメジャーなんですね。
それ以外の季節は、ウィーンのリンク(城壁)際にある、ホーフブルグ王宮で政務をとることも多く、毎年移動の季節になると家具やら使用人やら引っさげて、移り住むのが定例でした。
空いた間は近くの川の洪水などで荒れ放題になることもあったらしく、そのたびに綺麗に改装してたようです。
随分効率が悪いような気もしますが、これも貴族社会の贅沢というものでしょうか。

ウィーン王宮は時代にもよりますが、女帝統治下は割とオープンで、広大な庭は庶民にオープンになっていることも多く、直接王族をお見かけできることもあったとか。
このあたりの距離感は、王族が庶民の味方であるというイメージ作りも兼ね、絵画や記録などをあえて作ったのではないかという説もあり、真偽のほどは定かではありませんが、おとぎ話で王様と乞食が入れ替わるネタがこの時代に作られたこともあり、夢のあるお話ですね。

いずれにせよ、シェーンブルン宮殿は、名だたるヨーロッパ王宮の中でも美しい宮殿のひとつといわれ、ハプスブルク家はもちろん、訪れる人々に愛され続けました。
そのためか、催し物や特別な催事も、離宮といいながらこちらでやることも多く、実質上、王家の中心的拠点だったようです。

女帝が大幅に改装し、甘い黄色で可愛らしく塗り替えた色は、テレジアン=イエローと呼ばれ、今もウィーンでオーストリアの人々を見守っています。
今回の取材では貸切3時間という破格の条件で参加させていただきましたが、その美しさもさることながら、館員長さまの知識の深さに驚嘆いたしました。
もう正直、写真うんぬんより日本にお連れしたかったです。

いやいや、本当に素晴らしい時間でした。
皆様もぜひ一度、訪れてみてください。


9話

ようやく…。

女帝:マリア=テレジア様のお顔が出ました~!!!


もう仁月はこのお方が大好き!!
世界史で好きな人物ベスト3に入る、リスペクト・レディです。
女だてらにその仕事ぶりもさることながら、当時にしては珍しい恋愛結婚の末、ハンサムな旦那様と円満・熱烈な夫婦生活を全うし、子育てもちゃんとした、現代女性にも通じる淑女なのです。
嫁ぎ先の子供たちにもまめに手紙を書き、戦争があればお腹が大きくとも、戦場に直接赴いた彼女。
その人となりはウィーンの人々にも非常に愛され、家族的で親しみやすい言い伝えが数多く残っています。

しかし驚くべきは、彼女は決してそうなるように教育されてきた人間ではないということなんですね。
もともと彼女の父には息子がおらず、婿入りした王子に政務をとらせるため、マリア=テレジア自身は、よきお嫁さんになるよう躾けられていた、ただの可愛らしい女の子でした。
それが父の死後、欧州中を巻き込んだ戦争が起こり、窮地にたったオーストリアを救うべく、20歳そこらにしか過ぎなかった娘が、帝国の指揮をとった瞬間から、彼女の伝説が始まりました。
何もわからず、決して戦争には強くなかった彼女ですが、ウィーン中から母と親しまれるその包容力で、オーストリアは潰されることなく、今日までの繁栄をものとしました。
正直、彼女の魅力を語れば、たぶん仁月は単行本を出す勢いなので、このへんで今回はやめときます。


後、細かい話ですが、ケンペレンのスパナ。
実はこれ18世紀にはまだないんですね。
特に両口は後世のもので、この時代の工具というと、もっと細い針のような道具が中心になります。
オートマタなどはもう時計の精密機械に近いので、それこそ道具も針のような感じなのですね。
でも、漫画としての記号としてわかり易いというのと、産業革命が始まり、工学技術がうなぎ上りだったこの時代、ツンフトに委託してオリジナルの道具を作る人も多かったらしく、タークの外観や、人形を固定する大きなねじのために、ケンペレンが持ってても面白いのではないかということで、組み込みました。
本来はない組み合わせですが、新旧まざりこむロマンということで、楽しんでいただけると幸いです。

ちなみにアントンの反響が結構高かった回でした。
当初とはいろいろ予定も違う部分もあったキャラなので、意外に思ったのを覚えています。
どうしても主人公・黒六と、ターク・オーナーのケンペレンに話がよりがちですが、そのうち彼の活躍も描けたらいいなと思います。
 
 
 
 
さて本編はすでに22話に達し、次号23話は新しい土地に移動します。
コメント・ファンレター全部読んでます!!
とても嬉しいです、ありがとう!!

クロノ・モノクローム単行本2巻 も6月18日ごろ発売です!!!

それから

サンデーのショップの方でペーパーが1枚、
芳林堂書店様からペーパーとブロマイドが出る予定です。

 詳しくは芳林堂書店様のサイトあたりでご確認ください。


1巻ともどもお手に取ってくださるとありがたいです!!
応援宜しくお願いします!!


 
 
 

拍手[17回]

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グーテン・ターク!!
仁月です。
ペン入れを徹夜であげ、夜から打ち合わせです。
単行本作業も一段落したので、ようやくブログも更新です。

クロノ・モノクローム 第1巻
by 磯見 仁月
4月18日発売です!!

何度でも宣伝するよ!!
何冊でも買ってくださいませ!!(土下座)

後、ペーパー等ですが、以下で入手可能です。

アニメイト様

喜久屋書店様

イラストとおまけ漫画があります。
ペーパーというものがよく分からず、割と真面目に作ってしまいましたが、よろしければ集めてくださいませ~。
後、サイン色紙をおいてくださるのが数店あるようです。またペーパーもまとめて近日告知いたします。


さて、今回は久々にうんちくです!!
単行本に詰めようと思って取り置きしてたのに、収まりきらなかった。
もういっそうんちくだけで別冊をですね…。
以下、6~7話うんちくです。
長いのでお仕事・宿題片付けてから読んでね!!

第6話

タークデビュー戦編スタート回です。
もう取材の写真の総力をかけて背景を作画しました。
アシさんたちのトラウマ回です。
そしてその舞台、仁月が好きでたまらない…。

シェーンブルン宮殿!!

ハプスブルグ家の離宮であり、マリア=テレジア様のお気に入りの宮殿。
女帝はたびたびここを改装し、自分好みの可愛らしい黄色を基調に塗り替えました。
テレジアン・イエローと呼ばれ、今もオーストリアのトップの観光名所のひとつとして愛されています。
宮殿には世界初といわれる動物園があり、女帝とその夫、フランツが作り、デートしていたとか。
国民にも開放され、宮殿とはいえ、比較的オープンな王家だったようです。

さて、このシェーンブルン宮殿の取材。
バックステージでも触れましたが、なんと。

宮殿丸ごと貸切取材でした。


もう鼻血ものっていうか、正直その魅力を語りだしたら、それこそ単行本できる勢いなんですが、館員さんのみのところとかも入れてもらえて、仁月は昇天して、シェーンブルンの天井画の天使のひとつになるかと思いました。
6話に出てくる階段のシーンとかそうですね。
2階がタークの舞台となる大広間につながってまして、当時はまだありませんが、今は女帝の像が大広間に飾られ、宮殿を見守っています。

大広間は細長い形状、それが中央の壁をしきりに2列並んでいます。
ひとつは舞踏会用、ひとつは会食や休憩用などいろいろ組み替えて応用ができるようにしていたそうです。
調度品も品がよく、中国や日本のものも多くありました。
このことからも神聖ローマ帝国の繁栄ぶりや、交易の広さがうかがい知れます。
女帝の持っているセンスですが、これも日本のものが伝わり、ちょうどヨーロッパで大流行していたのです。
新しいファッションに飛びつくのは、今も昔も女性と変わりませんね。

そしてタークの披露。
きっかけとなったフランソワ・ペルティエとの諍いは史実です。
披露の手順も、ページの都合上多少飛ばしていますが、史実にのっとって作っています。
いずれ、そのうち飛ばした分もどこかの対局でねじ込みたいですね。
本当にタークは、その仕組みも、披露のレトリックもよくできているんです。
ケンペレンの頭脳とセンスにはただただ脱帽ですね!
単行本でもタークのうんちくについて少し触れているので、また見てやってくださいませ!

第7話

デビュー戦、タークに搭乗しての初の対局回です。
タークの動きやら、表現やら、試行錯誤でいろいろ悩んだのもいい思い出です。
今後、ずっと向かい合うテーマでしょうが、もっと面白い対局にできるよう頑張ります(キリ☆)。

相手のコベンツル伯爵。

実在の人物でタークのデビュー戦の史実上の対局相手です。

女帝お気に入りの臣下の一人で、史実上は人づきあいがうまく、賑やかな人だったとか。
優秀な外交官で、こういうお披露目の場所には欠かせない人だったようです。
史実ではナイトのツアーの後、ケンペレンが彼を指名し、対局が始まったそうで、貴族たちはその対極に釘つげになったようです。

ちなみに過去シーンで女帝と話しているのは、シェーンブルンの裏庭です。
奥に小高い丘があり、そこまで上ると宮殿を一望できます。
とてもじゃないけど歩き切れないくらい、広大なお庭です。
花や泉があり、本当に美しいので、オーストリアに行ったらぜひ立ち寄ってみてください。

おっともう時間がないのでこの辺で。
またうんちく分がたりなかったら加筆するかも。

今日はサンデー発売日。
クロノ・モノクロームも第15話です!!
反応・感想楽しみにしています。
応援宜しくね!!

拍手[18回]


 


アン:「ちぃーっす、何食ってんだ?」

クロ:「あ、アントンさん。お煎餅だよ。」

アン:「せんぺい?しらねーなぁ。甘いのか?」

クロ:「甘いのもあるけど…、どっちかっていうとしょっぱい系?アントンさんもおやつなの?そのお盆の…。」

アン:「これはご主人のだよ。ついでに何かこっちによって、サービスしろって命令が…、俺玉乗りでもすればいいのか?」

クロ:「そこに至るのがすごいけど…、たぶん違うよ。作者が過労でご覧のとおり爆睡だから、たぶんブログ、俺たちでやれってことじゃないかな?」

アン:「あー、大変だったもんな。ネーム通らん上に、スタッフから担当さんまで風邪やらインフルやらでダウン、OK出て下書き入ってから、やっぱりネームボツで書き直しっていう惨状で。」

クロ:「週刊連載じゃままあることらしいよ。アシ時代に経験した、修羅場Aとか修羅場Bに比べれば全然平気って、作者が笑ってた。」

アン:「泣いても締め切りはくるもんな。書き直してよくなるなら、いくらでも書き直したいとこだし。」

クロ:「大変だけど、それだけ懸けれるものに出会えたのは、幸せなのかもね。」






アン:「で、何話せばいいんだ?」

クロ:「うーん、うんちくは作者に任せて、何かほかのことを…。あれ?何か甘い匂い。」

アン:「ああ、ホットチョコレートだよ。ポットに入ってんだ。」

クロ:「おいしそうだね。そういえばもう少しでバレンタインか。」

アン:「バレンタイン?」

クロ:「あ、そうか…18世紀には…っていうか日本だけの行事だっけ。えっとね、俺の国では2月14日に、女の子が好きな人にチョコレートをあげて告白する、っていうイベントがあるんだ。」

アン:「なんだそれ、すげー羨ましい行事だな!!つーか告白の上、チョコレートなんて高級なもの…。そんなのしてもらったら、OKしか出せない気がするぞ…。」

クロ:「18世紀はチョコレートは高級なの?」

アン:「そりゃそうだよ。庶民にゃなかなか手がでねーぜ。俺はご主人の残したの、もらうときもあるから食べれるけど…、うまいよなぁ、あれ。俺大好き。」

クロ:「俺も好きだよ。局面考えてるときとか、甘いものすごく欲しくなるし。」

アン:「お前、ホント、チェスばっかだな…。」

クロ:「ケンペレンもチョコレート好きだよね?3話でも食べてたし、甘党なのかな。」

アン:「甘党かはわかんねーけど、割とおやつのリクエストには出る。紅茶も気分で砂糖入れるし。ウィーン自体、お菓子やパンの種類が多いからな。陛下が女の人だけあってお菓子が好きだから、色々試して広まったって、ご主人が言ってた。」

クロ:「ふーん、この時代だとそういう食文化も、いろいろ国によって差がでそうだね。お煎餅はうけるかなぁ…、俺は好きなんだけど。」

アン:「珍しいものは好きだから、ご主人は喜ぶかもな。まあ、でも今日はチョコレートの気分らしいから…、ってうわわっ!!」

クロ:「?」

アン:「長話しすぎてホットチョコレートが固まりかけて…、ご主人~~!!」(アントン疾走)

クロ:「いっちゃった…、そのまま持っていったら、怒られるだけじゃないのかなあ。にしても食べ物の話してたら終わっちゃったな。」

仁月:「ううう…、そもそもチョコレートがウィーンで親しまれるようになったのは、ハプスブルグ家の…、ガクッ!!」

クロ:「……。食文化の詳しいうんちくはまたそのうちに。クロノ・モノクロームも第8話。デビュー戦完結です。ファンレター、プレゼントもありがとうございます。全部いただいてます!宛先の質問がいくつか来ましたが、編集部に送ってくだされば大丈夫ですので。反応・感想楽しみにしています!次号も応援宜しくね!!」

拍手[16回]



グーテン・アーベント!!
仁月です。
連載後初の修羅場を潜り抜け、ようやくブログです。
背中には修正のでたネームが待ってるんだけどね…。
修羅場明けなんで、なんかもうまったりした絵が描きたくて、上記の図。
会話の流れが意味不明でしょうが、

実はクロノ・モノクロームは仁月が初めて描いてから、すでに3年目を迎えています。


3年前、紙面掲載すら未経験の仁月は、ただの読切り用にクロノ・モノクロームを描いてました。
それが月刊連載企画になり、月刊用のページ構成で何話かつくり連載会議へ。
その連載会議でなぜか週刊企画に変更になり、週刊連載の企画会議用にページ構成を変え、また何話か作り、そこからさらに実際の連載用に、何話か新しく作るという工程を通ってめでたく連載となりました。
間にチェス協会への取材、海外取材、チェスの大会の日程の都合などもあって、ずっとネームは書き続けていたものの、全行程2年以上となったわけです。
もう漫画にできそうなエピソードがほかにも盛りだくさんの2年だったので、ここでは到底描き切れない。
いずれ単行本で触れたいですね。

……。
背後のネームが気になりますね。
でもその前に少しは語らせて!
というわけで遅ればせながら、3~5話のうんちくです。
めっさ長いよ!!
センター試験控えてる方は、すんでから読みましょう!
試験頑張ってね!!

第3話

仁月と担当さんがものすごく苦労したクイズ回。
ようやく…。

ヴォルフガング・フォン・ケンペレンがでてきました~!!!


サンデーバックステージでも説明しましたが、歴史上の人物です。
史実上も美男子で頭脳明晰の完璧超人。
仁月のネタノートにチェスのネタは昔からあったのですが、連載企画にすべくネタだししてた3年前、それまでやってた企画がアウトで、チェスの歴史を洗い出したところ、このお方に出会いました。
ある意味クロノ・モノクロームの生みの親ですね。
史実上、いくつかエピソードを持っている方なので、作中でどんどんねじ込んでいきたいなと思っています。


さて、3話といえば怪しげなものであふれるケンペレンの物置。
目立つのは拷問器具、アイアンメイデンですね。
他にもちょくちょく中世頃の拷問器具を背景に書き込んでみました。
当時は今では理解しにくいことですが死刑は公開処刑が基本、町中の広場で民衆がお菓子でも食べながらショー感覚で見ることもあったそうで、色々な拷問・処刑器具が発明されました。
でも有名なギロチンができるのは、もう少し後です。
人体構造が次第に判明され、効率よく処刑するために、宮廷などが道具の研究を科学者などに委託することもあったそうで、その延長上にケンペレンもコレクションとして持ってるかなと思い、作画に組み込みました。

天井にぶら下がるよく分からないもの。
海外取材先のウィーンの博物館で見た、18世紀ごろの発明品などを参考にしています。
今回はかけませんでいたが、現地で見た仁月にとっての一番の珍品は、

獣の胆石で作った杯。

いや…、珍しいのはわかるんだけどさ…。
何というか西洋の、ちょっと奇怪なディティールは、不可思議ですよね。
だから面白いんですけど!!

第4話

仁月とスタッフさんが作画で死んだ回。
こちらもようやく…。

タークがでてきました~!!!


18世紀の有名なオートマタの一つで、こちらもサンデーバックステージで触れましたが、内部構造はなるべく忠実に作れど、デザインを大幅に変えました。
しかし困ったのはそのデザイン。
仁月は漫画やアニメをあまり見ていないうえに、超絶機械音痴(怪体のおまけ漫画読んだ方はご存知でしょうが、PSPを知らなかった)。
ロボットのイメージが全く分からず、18世紀じゃ今でいうタッチパネル的なものもないしなー、と悩んだ末行き着いたのが。

工事現場の重機でした。

何か手作業の感覚がある要素が、タークに欲しかったんですよね…。
クレーンのアームとか、チェスを指す動きっぽいなーと思ったので。
それに友人や、作家さんの知り合いに資料を紹介してもらい、14世紀の工学の素描などももとにして、某先生の協力のもとタークの内部のデザインができました。
人形のデザインは仁月一人で、なけなしのセンスでがんばりました…。
19世紀のビスクドールや、イタリアの仮面などを参考にしています。
タークのデザインやエピソードに関しては描き切れないんで、単行本でぜひやりたいですね!!


そして4話の作中でもありましたが、ここで出てくるおうちはケンペレンの別邸です。
当時のウィーンでは貴族が町屋敷を作るのがブームで、自分の領地の邸宅とは別に、小さくとも居心地のいい邸宅をこぞって作っていたそうです。
貴族屋敷も構造にセオリーがあり、使用人は3~4階の屋根裏部屋(建築技術上、3~4階が限度なので)、クロムの部屋は使用人部屋というわけです。
部屋は質素で顔を洗う水差しに照明用の手蝋燭、小机にクローゼット、ウィーンは寒いので小さな暖炉があるケースが多かったようです。
他の部屋も階層やエリアですみわけがあり、その辺も調べたのでいつかお屋敷や町中の周遊回もやってみたいですね!

そしてアントンの家事。
18世紀は電気がないので、まず冬のお仕事は暖房の暖炉の掃除、そして蝋燭やランプの手入れでした。
特に当時の蝋燭は、獣の油などを固めて作った粗悪なもので、燃やすとランプのガラスがすぐすすけて使い物にならなくなるので、宮廷などではそれを磨く専用の使用人もいたとか。
フランスの記録ですが、町中では朝方玄関先にランプを置いておくと、蝋燭を交換してくれる職業もあったそうです。
今は何でも電気がやってくれてとても便利ですが、その分そういうお仕事の数も減ってるのかなと思うと、ちょっと切ないですね。

そしてケンペレンのセリフ。
コマドリと言ってますが違和感があるかと思います。
日本だと朝なく鳥はスズメですもんね。
ウィーンは寒いのでスズメは夏しかいないのです!
取材中、スズメが一匹もいないので、ガイドさんに聞いたところ、いないと聞いてびっくりしたので思わず書いてしまいました。
そしてドナウ川。
今の地図を見てもそうですが、ウィーンの横を大きくカーブして流れている大河です。
実は1770年ごろの地図を参考に、ちゃんと構成してるので、2話のクロムが逃げてる移動距離とかも結構リアルに作っています。
レオの酒場はウィーン市街東部のドナウ川寄りで設定してます。
本当にこの辺は一度…、

しっかり観光回をやりたいっ!!



第5話


世界最古のゲームの一つ、

「ナイトのツアー」。

バックステージで詳しく述べましたが、非常に難しいゲームで、実際のタークドライバーの特技でした。
5話でクロムが披露したコースは、史実に残るタークのコースです。
途中、アントンが覚えきれないといっている寸前の駒で、コースの全景が出てますが、クロムがそのあと最後の手を指すので、ゴールまでまだ到達できてません。
難しそうだな、って思ってる人は、まずこれを解いて慣れてみてくださいね♪
結構はまりますよ。


ケンペレンとアントンの過去シーン。
ここで出てくる人たちの衣装はすべて、ハンガリーの民族衣装を参考にしています。
仁月はこのあたりの民族衣装がものすごく好きです。
海外取材で博物館である程度見たのですが、滞在はずっとウィーンだったので、周辺国のはあんまり見れないなーと考えていました。
ところが最終日、ウィーンの王宮で散歩してたら、各国のマーチングチーム(かな?違ってたらごめんなさい)が民族衣装を着て次々と行進して入ってくるというビックイベントに遭遇!
壮年以上の方が多かったのですが、もう皆様の素晴らしい事。
無断で写真を撮りまくる怪しい東洋人と化した仁月を、肩を抱いて優しく一緒に撮影してくださいました。
本当にありがとうございます、変態的撮影で本当に申し訳ないです。
すべてインクに込めますので、なんていうかありがとうございます!!


そしてでてきました。
顔はでていないけど、

神聖ローマ帝国女帝、マリア=テレジア様!!!

実は正確には神聖ローマ帝国女帝とするには語弊があるのですが、そこを説明するとなると、そもそも領邦国家という、日本人には非常に理解しづらいものを提示しなければならないのと、実質上は神聖ローマのトップの象徴のひとりということもあり、表記をそうさせていただきました。
世界史に詳しい方がいたら申し訳ないですが、日本では世界史はなじみが浅く、そもそもとっつきやすさを提示することが少年誌のよさのひとつと仁月は思うので、あえてそうさせていただきました。
むしろ、その表現の違いも楽しんでいただけたら幸いと思います。




やー、しかしすっかり夜も更けましたね。
語りだすと止まらなくて困ります。

次回は6話、仁月とスタッフが作画で死にかけた回です。
魂込めましたんでどうぞ来週も応援お願いします。
ファンレターや年賀状も何通かいただいてうれしい限りです。
全部読んでますよ!!
反応やコメントも楽しみにしています!!
では今回はこのへんで。

拍手[26回]




どうも、仁月です。

サンデーも発売したことだし、クロノ・モノクロームの2話 についてちょっと歴史的うんちくを語りたいともいます。
まだ読んでない、ネタバレはちょっと…、って人は後で読んでくださいね。
たぶん本編そんなに関係ないので、大丈夫だと思いますが…。
長いよ!
宿題やお仕事残ってる人は、後で見るんだよ!!

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さて。
主人公がタイムスリップしたのは

18世紀ウィーン!!

現在のオーストリアですね!
まず冒頭。

電気もないこの時代、移動手段で早いのは主に馬でした。
ウィーンでは観光用に、今でもたくさん馬車が走ってます。

窓にぼんやり透けて見えるのは、かつら屋さん。
ショーウィンドウ的なものはまだこの時代はなく(ウィンドウショッピングという発想ができたのは19世紀ごろといわれています)、一枚の大きなガラス板を作る技術も弱いので、ふつうに格子窓が多いのです。
18世紀はかつら文化がすごいんですねー。
だからこそ、髪を狙って絡んでくる、浮浪者も割といたそうです。
音楽室の偉人の写真って、みんなすごい巻き毛ですよね。
あれもかつらなんです。
少年史的にあれなんで、そこはうまくデフォルメしていきますが…。
かつらにこれまた色々おしゃれの文化があるんですが、それもそのうち作中でだしたいなあ。

隣 の看板、「カイザー」と書いてあります。
レオの店でも出てますが、ウィーンの一番代表的なパンのひとつにカイザーゼンメルがあります。
星のような切れ込みの入った、なんにでもあう、日本でいうごはん的な感じのパンです。
カイザーゼンメル自体の歴史は古いのですが、実は18世紀では、今のウィーンの名物であるものはあまりなかったりします。
有名なチョコのケーキ、ザッハトルテもまだありません。
内陸部だから海の幸もあまり手に入らず(冷蔵庫ないしね)、今もそうですが川魚が名物のひとつにあります。
イワナやマス、時にはコイも食べてたみたいです。
当時の献立などの記録調べてたら、面白いことがいくつかわかったんで、そのうち料理の回もかきたいなあ。

ねずみをぶら下げた男。
当時の風俗画にあったのですが、ネズミ取りを仕事にする人たちがいたそうで。
犬を何匹かつれ、狩りの要領で捕まえてたそうです。
ネズミは疫病の原因としておそれられ、たくさん捕まえるネズミ捕りは重宝されました。
ハーメルンの笛吹き男でもネズミの脅威が描かれてますが、昔はそれほどネズミが災害としてありました。

酒場で飲んでいるのは主にビール。
ウィーンはビールがおいしいです。
残念ながら私は炭酸だめなんで飲めませんが…。
富裕層はワインがメジャー。
でも平民は雑多な酒場でビールをあおりながら、バックギャモンやカードで遊んでいました。
徐々にチェスも普及します。
たばこをたしなむ人も多く、マッチはないから暖炉の炭をひばさみで拾い、着火していました。
途中のキセルをもってる老人がそうですね。
日銭を稼いだら酒場へなだれ込む、当時の酒場は民衆の数少ない憩いの場でした。

そしてチェス。
今回の対抗策ででてくるフィッシャーディフェンスは、かなり高度な技になります。
指してみると、割と序盤でポーンをきめちゃうので、一見効いているのかどうか分からないなー、ってなります。
でも、実際に、そこにおくとものすごい防御力になるのが検証され、判明されています。
棋士の方々の読みの世界には、ただただ脱帽しますね!



そんなこんなで場面が急転した第2話。
正直、どういう反応になるのかどきどきしています。
これからちょっとでも、チェスと世界史を好きになってくれる人が増えたらいいな。
なじみのない世界だと思うので、少しでも面白くなるよう頑張るね!!
後、わりとこの時代は、世界史のテストに出てきます。
センター前の学生のみなさん、もうどうにもならなかったら、この漫画を読んでみて!!、


ちなみに今回のカラーはレオ。
画材はコピック、アナログ画ですね。
私はPCが苦手で、実はPCで塗ったことが10枚もなく、1話のカラーも勝手がわからず、四苦八苦でした。
原稿も全部アナログなんで、そのうちカラーも練習したいなー。
コピックで塗るのは好きなんですけどね。
修正がしにくいので。

レオには先に説明したカイザーゼンメルを持っていただきました。
ちっさく2話にあるんだけど、店名は「太った男」。
ウィーンのごはんはおいしいです。
いると太れそう。

では、そろそろ仕事に戻ります!!

拍手[23回]

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